味の素高輪研修センター 表門  

 味の素高輪研修センター表門は、昭和7(1932)年、味の素の創業者である鈴木三郎助の自邸建設に伴い、表門として建てられました。なお、自邸は元宮内省内匠寮技師・木子幸三郎の設計、清水組(現・清水建設株式会社)の施工の建物です。
 表門は一見して木造の建物ですが、柱と腕木に鉄骨を芯として利用していることが調査により明らかになりました。控え柱は鉄骨の周囲を当て板で覆い、当て板の継ぎ目がわからないよう几帳面を用いる等の意匠的な配慮が見られました。
 本工事では、鉄骨柱の柱脚が腐食していたため、基礎の新設と共に鉄骨柱の取り替えを行いました。また、桁行方向に対して耐震的に脆弱であったことから、鉄骨柱の間に補強梁の新設を行いました。補強梁の設置に際しては、木梁または鉄骨梁の2種類が考えられましたが、オリジナルの意匠を考慮し、木梁よりも小断面で対応可能である鉄骨梁を採用しました。なお、鉄骨梁には当て板を施し、後の時代に設置したものであることがわかるよう古色塗装等は行わず、素木のままとしました。